悪魔城ドラキュラ 漆黒たる前奏曲
あくまじょうドラキュラ ダークナイト・プレリュード ←BACK
(※1)Switch向けのオンライン環境提供のための定額サービスに付随するオマケ(?)
プレイステーション版「月下の夜想曲」の人気が冷めやらぬ間に、ひっそりと発売されたドラキュラ作品。 一時はコナミ社自身が発売した事実をなかったことにしたくらい、問題が多かったゲームです。 当初のストーリーは、『ベルモンド家最初の人物「ソニア=ベルモンド」がドラキュラを倒す』というものでしたが、エンディングで都合の悪いことを書いてしまったうえに、設定そのものが明らかに矛盾していたため、後に公式年表からは削除され、存在しない人物ということにされてしまいました。 これも画面で語らずにキャラクターを優先させて、例の「彼」を出したりしたのが原因ではないでしょうか…。 ただし、いかに問題作とはいえ、後付け年表の辻褄合わせのためだけに削除されたうえにフォローも一切無しという酷い扱いにはドラキュラファンからの反発が大きく、「せめて存在くらいは認めろ」という声は多く聞かれました(現在の公式サイトより以前、KCEKが作成していたドラキュラサイトの年表には、本作も載せられていました) 私も同感で、都合が悪くなったから消してなかったことにする…という考え方には賛成できませんね…。 むしろ、公式年表を無理矢理作ったこと自体が一番の問題なのですが。
基本的な操作体系は「ドラキュラ伝説II」を踏襲していますが、そこに「バーニングモード」と呼ばれる一定時間無敵になる究極奥義や、ステージクリア後に得られるソウルウェポン(サブウェポンのようなもの。中には体力を回復するものもあります)、ステージ中に得られる「コレクションアイテム」(手に入れた数によってエンディングが変わる。…といっても、全てを集めたか集められなかったかの二種類だけ)など、オリジナルの要素も追加され、システム面での差別化が図られています。
遊んでみると、道のりが平坦でだらだら続く…という印象が強いです。 1面など、「まだボスじゃないの?」と思えるほど無駄に長く、適当にアイテムを取っていくだけでもステージ途中でハートが99になってしまいます。 敵も、画面をちょっと戻しただけですぐ復活したり(仕様といわれればそれまでですが)、動きが単調だったりなど、敵のパターンを攻略する楽しみはほとんどありません。 ほぼ毎回登場し、プレイヤーを苦しませてくれる死神も、耐久力のある雑魚レベルの弱さです…。
残念ながら、およそドラキュラらしからぬ曲ばかりで、耳に残るような曲はなかったように思います(悪い曲ではないと思いますが…) 音の使い方も左右の振り分けもあまりパッとせず、終始ただバックで鳴り響いているだけ…という印象。 最初の面は「Bloody Tears」ではなくオリジナルにして、「漆黒たる前奏曲」らしさを表現してほしかったところです。
…というわけで、結果的にはドラキュラ史上最もできの悪い存在となってしまいましたが、システム自体は悪くなかったですし、操作もゲームボーイとしては快適でした。 もう少し時間をかけて調節し、しっかりと作りこめばゲームボーイでの最高傑作「ドラキュラ伝説II」を越えることもできたのではないかと思っています。 いろいろ言ったものの、設定自体は非常に興味深いものなので、このまま闇に葬られてしまうのは残念な作品です。 ←BACK |