悪魔城ドラキュラ黙示録
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今までとはガラリと雰囲気を変えた、NINTENDO64版のドラキュラ。 大きな変更といえば、やはりフィールドやキャラクターが3D(ポリゴン)になったということでしょう。 2Dの4方向から縦横360度の広大な世界に変貌したことによって、プレイヤーに求められる技能も一気に増え、アクションの腕はもとより、敵との距離感を測ったり、死角からの不意打ちを警戒したり、逃げ道を常に意識したり、道に迷わないように記憶力や方向感覚を鍛えることも必要になりました。 プレイヤーによっては3D酔いを克服しなければならないということが一番の難題になるかもしれません。 癖の強いカメラワークと頻発する落下死に挫折してしまうプレイヤーが多く、それほど注目されずに終わってしまった作品でしたが、個人的にはひさびさに強い手ごたえと緊張感を感じたアクションゲームでした。 確かにカメラの動きには難があるかもしれませんが、癖さえわかればどうということなくむしろそれを利用することもできますし、徹底した調査が必要なこのゲームはとても好きです。 ※ 擁護意見が多くなりますが、この作品のファンサイトなのでその辺りはご容赦ください。
3D化に伴い、3Dスティックによる歩き〜ダッシュの使い分け、強・弱二種類の攻撃、敵のロックオン、小ジャンプによる素早い飛び退き、飛び退きからの即座の反撃、壁や崖の縁への飛びつき(つかまり)、攻撃ごとの多彩なダメージモーション、高所からの落下によるダメージ(または転落死)等、移動から戦闘にいたるまでリアルさとアクション性が強化されています。 また、「ドラキュラII」以来久々に時間(昼と夜)の概念が採用され、特定の時間帯でないとイベントが起きなかったり、夜は敵が強くなるという演出のほか、エンディング条件にも関わってきます。 「リアルアクションアドベンチャー」の名の通り、扉の鍵やスイッチを探したり、必要なアイテムを揃えるためにステージを行き来したり、さまざまな場所を調べて攻略のヒントを入手したり等、探索(アドベンチャー)の要素も強めです。 アイテムは一部を除いてストック制になり、道中で発見できるもののほか、稼いだゴールドを使って購入することもできます。 今回、主人公は「ラインハルト=シュナイダー」と「キャリー=ヴェルナンデス」の二人で、スタート時にどちらかを選択することができます。 攻撃方法の違いによって攻略法がまったく異なるほか、ストーリーや一部のステージも変化します。 それぞれの展開は完全に独立した扱いで、お互いが出会ったり影響を及ぼしたりすることもありません。
ステージ全般の傾向として、足場が狭く、下に落ちると即ゲームオーバーになる場所が多いという点が挙げられます。 最初のステージからガンガン落ちますので、なめてかかるとひどい目に遭います。 それに加え、何の前触れもなく突然切り替わるカメラ(*)によってより落ちやすくなっており、ゲームオーバーになる原因の大半はまさにその落下によるもの。 納得のいかないものだと思いますが、仕様ですので諦めてください。 それだけに、突破できたときの感動もまたひとしおなのですが。 (*) その分、通常時の操作のしやすさや、「酔いにくい」という点においては優れたカメラワークだと思いますが。
3D化は曲調にも変化をもたらしています。 視覚的にリアルになった以上、ベタベタな曲をつけるとかえって雰囲気を損ねてしまいます。 スタッフもそれは言われるまでもなく分かっているようで、今回は控えめの曲が多く使われています。 それでも、「やはりドラキュラ」という雰囲気が漂っているのはお見事です。 「静かな狂気」(悪魔城別邸)、「深緑の罠」(地下水路)、「Invisible Sorrow」(地下坑道)、「本丸」(悪魔城中心部)、「魔法塔」(魔法塔)、「暗雲階段」(悪魔城天守)、「青い墓標」(キャリー編エンディング)、「再会」(ラインハルト編エンディング)など、しつこくなく、雰囲気を増す曲がいっぱいです。 3Dの宿命か、操作に慣れないうちは聴く余裕がなかったりもしますが。
「悪魔城ドラキュラ」はもともと初心者お断りの癖と難度が普通ですが、この作品はその中でもとりわけ高い癖を持っています(難度は癖を乗り越えられればそこまで高くはありません) おそらく、一生かかっても一面がクリアできない人もたぶんいるでしょう。 ですが、この作品は今までとはまったく違う、3Dという基本システムでドラキュラの世界を表現することに果敢に挑戦した意欲作でもあります。 売れる、売れないで単純に結論づけるのではなく、これからどう知識や反省を活かしていけるかが課題だと思います。 3Dドラキュラ、これからも暖かい目で見守ってあげましょう。 ←BACK |