オレたちゲーセン族 悪魔城ドラキュラ
オレたちゲーセンぞく あくまじょうドラキュラ ←BACK ※画像はアーケード版のものです。
過去のアーケード(ゲームセンター用)作品をプレイステーション2に移植する、「オレたちゲーセン族」シリーズの一つ。 1988年に登場以来、今までどの機種にも移植されなかった幻の(?)アーケード版「悪魔城ドラキュラ」が、実に18年の時を経て現代に蘇ります。 2000円というお手頃な価格に加え、さらに音楽CD、映像DVD、インストカード(操作方法などが書かれたカード)、ガイドブックなど、豪華7点セットが標準装備された、ファンなら永久保存版間違いなしの仕様です。 もっとも、価格から想像がつくように、個々の出来は良いものとは言えませんが。
全体的にはまずまずの再現度。 ウォーミングアップ画面(最初に出る、バグったような画面)や白黒盤面もしっかり出てきます。 始めてすぐに気になったのはボタンの仕様。 鞭の攻撃は○と□ボタンなのですが、□ボタンは連射仕様になっているうえ、変更は不可。 これだけ目立つ不備はテストプレイで絶対に気づくと思うのですが… (※)しゃがみ鞭連打は不備ではなく仕様でした。かなり早い連打が必要なためにオリジナルでは出にくく、連射仕様の本作では容易に出せる、という その他、シモンの着地音がない、BGMの音量がたまに変化する、ハイスコアの名前入力が終わってもBGMがそのまま…といった音声周りの不備もありますが、いずれもバランスに影響するものではありません。 ちなみに難易度を星4つに下げたのは、難易度とコンティニューが自分で設定できるようになったことによるもの(オリジナルは店のオペレーターの裁量次第)で、バランスが変わったという意味ではありません。
豪華7点セットについてあれこれ。 ●音楽CD ほぼ全曲を2ループで収録+全効果音+アレンジ1曲が収録された8cmシングルCD。 原曲そのままと思われる、加工(エコー等)なしの完全オリジナル仕様。 この存在が全体の8割以上の価値を持つと言っても過言ではなさそう。 音そのものについては問題ありませんが、曲名が手抜きっぽいのが減点対象。 欲を言えば、レーベルももうちょっと格好良いデザインにしてほしかった(あえて80年代風にしているのかもしれませんが) ●映像DVD テレビCMやゲーセン族シリーズの紹介、ステージ3までのノーミス攻略映像を収録。 「ノーミス」と言っても完璧なものではなく、ところどころに穴が存在する中級者程度のレベル。 実際に見てみると、ステージ3をクリアするのがやっとのように思えるはず。 最初は参考になるかもしれませんが、少し慣れればこれ以上の攻略は容易にできるようになります。 …しかし、なぜにステージ3? こうも中途半端だと、「もしやステージ4は(本作スタッフの)誰もクリアできなかったのでは…」と邪推してしまう…。 ●インストカード 二種類あるうちの片方のみ。寸法もハガキ大くらいなのでかなり小さめ。 音楽CD、映像DVDとともにバインダーに収められるようになっているので、他の「ゲーセン族」シリーズも集めて一緒にすれば、見栄えは結構良くなるかも(無理なフォロー) ●ガイドブック 「ブック」という言葉はちょっと紛らわしい気が。ページ数はたったの8ページ。 ちょっとした攻略程度は書いてありますが、敵の名前やデータなどはほとんど載っていません。 2面ボスの名前が「ボーンドラゴンキング」であることが唯一の収穫でしょうか(とはいえ、のちの「アーケードクラシックス」の資料では「スケルトン・スネーク」と書かれているため、これが公式名称とは考えづらい…) ●コレクションカード 初代「悪魔城ドラキュラ」のイラストが、名刺くらいの大きさの厚手の紙に印刷されています(裏面はゲーセン族のロゴ) コレクションといっても、複数の絵柄があったりはしないようです。 ●解説書 これはあって当たり前のものなのですが、これまで7点セットに含めるところが何とも強引。 ただ、基板の写真やアーケード基板販売店の情報が載っていたりするのは面白い。 …というか、解説するべきなのはそこじゃないだろ…と思わなくもない。 全体的にチープさは否めませんが、2000円であることを考えれば十分がんばったと言えそう。 ただ、正直な気持ちを言えば、ファンの心をくすぐるようなもっと突っ込んだ(濃い)内容にして欲しかった。 それで例え2800円になったとしても、ファンならこちらの方が嬉しかったのは間違いありません。 そもそも、このシリーズのターゲットは当時夢中になって遊んだ、文字通り「ゲーセン族」のためのものでしょうし。
今回の移植によって、18年間秘密のベールに包まれていたアーケード版「悪魔城ドラキュラ」の真実(設定)が明らかになる! …と期待していた自分にはちょっと残念な内容でした。 特にこの作品の設定や主人公には未だに不明な部分が多いですし。 現状からすれば移植されたこと自体が奇跡とも言えますし、HAMSTER社(移植した会社)に感謝すべきなのでしょうけど(実際感謝はしています。丸投げとエミュ無断使用疑惑に関してはアレですが)、当然ながら作品に対する「熱意」は感じられませんでした。 とはいえ、単純に移植としては大きな問題もなく、合格点は与えられるかと思います。 今や1000円以下でより再現度の高い「アーケードアーカイブス」版もありますが、音楽CD付きという点は大きなアドバンテージと言えるでしょう。 実質、音楽CDが1000円程度で買えると考えれば、かなりお買い得なのではないでしょうか(現在は入手困難になってしまいましたが) ←BACK |