Castlevania Lords of Shadow
キャッスルヴァニア ロード オブ シャドウ ←BACK ※画像はPS3版のものです。
※DLC…ダウンロードコンテンツ。インターネット配信による追加プログラムのこと。 ※FPS…Frame per Second 1秒間に画面を更新する回数。数値が大きいほど動きが滑らかになる。 ※LoS…「Castlevania: Lords of Shadow」の略称。 ※MoF HD…「Castlevania: Lords of Shadow -Mirror of Fate HD-」の略称。 ※「Mirror of Fate」は「Castlevania Lords of Shadow 宿命の魔鏡」の海外版タイトル。
『「新生」悪魔城ドラキュラ』として全ての設定をリセット。 開発も国内から海外のMercurySteam社へと移して生まれ変わった新シリーズ一作目。 なお、大々的に出てくる小島プロダクションは、国内での広報活動と音声の日本語化(ローカライズ)を担当しただけであり、制作には関与していません(実際、海外版では小島プロダクションのロゴは表示されません) この辺りの経緯はデータ集に書いてありますので、興味があればどうぞ。 圧倒的なスケールと映像美、オーケストラによる荘厳なBGMなど、新シリーズ開幕にあたっての下地は十分。海外では絶賛され、シリーズ最高のセールスを記録。数多くの賞も獲得し、シリーズ史上もっとも成功した作品となりました。 主人公は燈光教団(とうこうきょうだん)に所属する戦士「ガブリエル=ベルモンド」。 世界を襲った異変の原因を探るべく、各地を巡っていきます。
ゲームの基本は「黙示録」と同じ、ポリゴンによる3Dアクション。 そこへ様々な操作で繰り出すスキル、敵の攻撃を防ぐ防御、素早く距離を取る回避など、より戦闘に重点を置いたシステムが追加されています。 さらに、体力回復や防御効果が得られる「光魔力」、攻撃力の上昇に加えて敵をのけぞらせやすくなる「影魔力」、戦闘が有利になる「バトルフォーカス」など、新システムが盛りだくさん。 画面内のあらゆる情報に注意を払うと同時に、操作にはコントローラーのほぼすべてのボタンを使いこなさなければならないため、慣れるまではとにかく大変です。 そのうえ、これらの仕様のことごとくが不慣れなプレイヤーに対して厳しいものになっているため、慣れる前に諦めてしまったであろうプレイヤーも多かったのではないかと推測されます(詳しくは後述) 基本となるアクションの他に、画面の指示に合わせて素早くボタンを押すQTE(Quick Time Event)や、不意に始まるパズル要素、通常攻撃が効かない特殊なボス戦などもあり、「思いついたものはとりあえず全部組み込んでみました」と言わんばかりのごった煮感。 結果、ついていけるプレイヤーはかなり限られてしまうことに…。
前述の通り様々なシステムがあるのですが、これらのほとんどが「弱者に厳しい」仕様。 例えば、体力を回復させるには「光魔力」が必要になりますが、回復量に比べると魔力消費は多く、すぐに魔力が尽きてしまいます。 魔力を回復させるには「エナジーオーブ」というアイテムを吸収しなければならないのですが、エナジーオーブを出すには「バトルフォーカス」をフル状態にして敵を攻撃しなければなりません(フル状態でなくてもときどき出ますが、数がとても少ない) バトルフォーカスをフル状態にするには、敵の攻撃を受けることなく、「大技を使って積極的に攻め続ける」、「敵の攻撃に合わせて防御(シンクロ防御)を決める」ことが必要です。 つまり、「敵の攻撃を受けずに戦わなければ回復ができない」というなんとも本末転倒なシステム。 慣れないうちは回復もままならずどんどん追い込まれていく一方、慣れると一転して大量に放出されたエナジーオーブをもてあます…という両極端な展開になります。 難易度は三段階(ゲームクリアでさらに一段階増えます)ありますが、基本的に受けるダメージに差があるくらいで、敵の攻撃頻度や速度は変わりません。 結果、どの難易度を選んでも敵の攻撃を受けずに戦うことの難しさは変わらず、攻撃の激しさゆえ回避を多用することになり、プレイヤーの多くは地面をごろごろと転がりまわる(割と無様な)ガブリエルの姿を見続けることになります。
一部のキャラクターには、従来の作品から取ったであろう名前がつけられています。 おそらくはファンサービスのつもりなのでしょうが、中には「やたら卑屈で偏屈なうえに、べらべらと喋った挙句ガブリエルに惨殺される」「気が触れて村人を見殺しにし、聖遺物(聖水)を手に塔に閉じこもった聖職者(そして最期は悲惨な末路を辿る)」というあんまりな者も…。 いくら関係がないとはいえ、どう考えてもマイナスの印象しかないキャラクターにシリーズキャラクターと同じ名前をつけられて、ファンが喜ぶとは到底思えないのですが…(ちなみに前者はご丁寧にも種族まで似通っています)
これまでとは大きく方向性が違ったり、強弱が激しすぎてよく聴き取れなかったり、転がるのに忙しすぎたりするせいか、日本では好意的な意見が少ないBGM(海外では概ね高評価) ですが、単独でゆっくり聴いているとその良さがじわじわと滲み出てきます。 「それではゲームのBGMとしてはダメだろう…」という気もしなくもありませんが、むしろこの状況でBGMだけ従来のドラキュラサウンドを踏襲していたらどうだろう? と考えるとあながち悪いとも思えず。 「Intro」(プロローグ)、「Besieged Village」(1-1BGM)、「The Swamp Troll」(スワンプ・トロール戦BGM)、「Ascension」(4-1BGM)、「Castle Hall」(6-3BGM)、「Carmilla」(カーミラ戦BGM)、「Belmont's Theme」(11-1BGM)、「The End」(エンディング)辺りがオススメ。 ぜひ、静かな環境でゆっくりと聴いてみてください。
日本では配信されなかったDLCやカスタムテーマ。 日本では導入難度の高いPC版。 日本では発売されなかった廉価版(?) メーカー、ユーザー問わず国内外における温度差には寂しさを感じずにはいられませんが、思えば自分も最初は否定よりで、発売前〜最初にクリアした時点ではそれほど良い印象は持っていなかった気がします。 日本という特殊なマーケットでは受けがよくないであろうことも理解はできますが。 「理不尽気味なマゾ難度の叩いて転がるゲーム」であることは確かなので、これから始めてみようと思っている方は、比較的低難度で分かりやすい「宿命の魔鏡」(続編)からにするとよいかもしれません…と言いたいところですが、酷いネタバレがあるためあまりオススメともいかない辺りが何とも悩ましいところ…(続編ですし仕方ありませんが) ←BACK |