悪魔城ドラキュラ Lords of Shadow 2
あくまじょうドラキュラ ロード オブ シャドウ 2 ←BACK ※画像はPS3版のものです。
※QTE…Quick Time Event 画面に表示されるボタンを素早く正確に押すアクションイベント。 ※DLC…ダウンロードコンテンツ。インターネット配信による追加プログラムのこと。
「ロード オブ シャドウ」サーガ三作目にして完結作。 1000年の時を経て蘇ろうとしている宿敵サタンとの戦いに終止符を打つため、ガブリエル=ベルモンドが再び立ち上がります。 前二作(それぞれ以下「LoS」「魔鏡」と省略)の経験を経てさらに洗練されたシステムとバランスにより、「ロード オブ シャドウ」の集大成にして最後を飾るにふさわしい内容と完成度を誇ります。
基本的なシステムは「LoS」を踏襲しつつ、「魔鏡」の要素も取り込み、大枠はステージクリア型から箱庭探索型へと変更されています。 一応、ストーリーの進行ごとに章分けがされていますが、メニューを都度チェックしていなければ変わったことにも気づかないでしょう。 過去・現在それぞれ4か所、合計8か所からなる広大な地区を巡って戦いを繰り広げていきます。 ゲーム本編開始時、ガブリエルは本来の力のほとんどを失っており(理由はゲームを進めることで明かされます)、戦いや強敵との対峙などによって徐々に力を取り戻していきます。 今回も多彩な攻撃手段が用意されており、基本武器の「シャドウ・ラッシュ」(自らの血を元に作り上げたムチ)を軸に、光・影魔力に代わる「ボイド・パワー」「カオス・パワー」、サブウェポンの「シャドウ・ダガー」「コウモリの群れ」、回避技の「ミスト・フォーム」などを敵との戦いから仕掛けの突破まで幅広く活用していくことになります。 これまでは役割(体力回復・攻撃力アップ)以外の差異が薄かった魔力強化にも、『氷属性を持ち、敵や水を凍らせる剣「ボイド・ソード」』、『炎属性を持ち、敵の装甲を打ち砕いたり、通路を塞ぐ障害物を排除する拳「カオス・クロー」』という明確な個性(ビジュアルや攻撃力、攻撃範囲含む)と特別な役割が付与され、基本武器も含めて各攻撃の使い分けがとても重要になりました。 さらに、魔道具と呼ばれるストック制アイテムが使えるようになり、緊急時の体力・魔力回復から探索のヒントまで様々な要素がフォローされています。 特に、システム自体が矛盾していた「バトルフォーカス」に頼らなくても体力回復ができるようになったのは大きいと思います。 なお、初回特典の「錬金のルーン」があれば、無補給で最大何と30回も体力回復ができることになります(ない場合は5回) もっとも、物量に任せた力押しでは突破できないケースも多いため、これでもバランス崩壊には至っていませんが。
上記回復手段の増加以上に今回のガブリエルは基本能力が高く、敵の攻撃もわかりやすくなったおかげでガンガン攻めていけるようになり、非常に爽快感のあるものになっています。 特にジャストガード(旧シンクロ防御)はあらゆる敵で決めやすくなっており、バトルフォーカスも結構な頻度で発生・維持させることができます。 さらに、回避も直立状態で地面を滑る格好良いモーションになり、ごろごろ転がりまわる無様さからは解放されたほか、体当たりで軽い敵を吹っ飛ばす(「LoS」でも可能でしたが、より豪快に吹っ飛んでいくうえ、敵の防御を崩して無防備状態にするなど、戦略上も極めて重要な一手になります)など、簡単に気持ちの良いアクションを繰り出すことができます。 かと言って、終始思考停止のボタン連打で何とかできるほど甘くはなく、敵それぞれの特徴や行動を見抜き、適切なスキルを使い分けることも重要です。 その辺りのバランスも非常に良く、爽快さや面白さに繋がっていると思います。 最初に全盛期に近いガブリエルを操作させ、その力の落差を体感させると同時に、順を追って操作を身につけさせていくというのも良いアイデア。
ゲーム本編開始直後は力の大半を失っている都合上、敵地にこっそり侵入して敵に見つからないように隠れながら進む、いわゆるスニーキング要素があります。 これが序盤の数回程度だったら問題なかったかもしれませんが、実際は終盤まで何度も発生します。 この点だけは蛇足というか、ガブリエルの言動や態度から見ても「らしくないなあ…」と唯一不満に思える部分です。 突破の仕方が完全に決まっていて、遊びがほとんどないのもマイナス。
軽く触れましたが、今回は過去と現在を行き来しながらストーリーを進めていくことになります(理由・原理は以下略) 実に1000年もの開きがあるだけに、建築物の構造(文明レベル)から登場する敵、扱う武器までもがガラリと様変わり(もちろん攻略法も)するほか、過去と現在の情報を見比べることで分かる裏設定などもとても面白い仕様です。 「あぁ、歴史ってこういう風に都合よく思い込み解釈されて歪められていくよなー」と思わずニヤニヤしてしまう部分も。 それに、「LoS」でのとんでもない終わり方からもしっかり繋がっていて、「設定も含めてこのための伏線だったのか!」と唸る見事なプロットにも感心しきり(細部がちょっと矛盾していたりするのはさておき) そして、ガブリエル自身も含め前作までの様々な確執を解決させ、多少心残りはありつつも未来も感じられるようなエンディングもなかなか印象深くて良い。 まあ、日本人的感性から言うと投げっぱなしすぎるような気もするものの、安易な解決にしなかった点は個人的には高評価。
今回の曲も基本的な方向性は同じです。 多くのオリジナル曲に加え、「LoS」「魔鏡」からも引き継がれた曲群は相変わらず(ドラキュラサウンドとは違うものの)素晴らしい出来。 ピアノの旋律が印象的な「Dracula's Theme」(タイトル)に始まり、ガブリエルの陰鬱な心境さえも伝わってきそうな「The Throne Room」(オープニング)、一転して激しい曲調の「Chaotic Battle」(戦闘曲)、演出との相乗効果が儚くも美しいプロローグ(曲名不明・ガブリエルが目覚めるシーン)、曲とシーンの一体感が格好良い「Castlevania」(列車での戦い)など、最初から最後まで鳥肌が立つような曲が続きます。 これまでとは明らかに違う、ガブリエルの心情を現したかのような、穏やかかつ爽やかなエンディング曲も必聴。 前二作ほどの空気感もなく、されどゲームの邪魔になることもなく、ゲームに負けず曲もどんどん進化していくことに驚かされました。 例によってサントラCDは海外でしか発売されず、かつ収録数も全然足りていないのはとても悲しい(調べた限りでは70曲以上あります) 個人的には三作完全収録(できればハイレゾ)で出してくれたら例え十万円であっても買う意思があるだけに(その分、ブックレット等は超豪華に願います)
時期的には両ハードの終焉も間近に感じられる頃であり、海外版の発売(2月末)から数ヶ月間まるで音沙汰がなかったときはさすがにもう無理かなあ…と諦めかけましたが(続報が出たのは6月末)、無事発売してくれたことに安堵と感謝。 全ての要素がうまく噛み合って、これぞ「ロード オブ シャドウ」最高傑作! と思えただけに、今後がさらに期待できそうなこの段階で この辺り、「黙示録」もそうだったのですが、だいたい新システムで二〜三作くらいこなしたときがスタッフが一番乗っていてアイデアも豊富に出てくる時期だと思うので、あともう二作くらいは見てみたかったものです。 ←BACK |