悪魔城ドラキュラX 血の輪廻(ロンド)
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(※1) 「悪魔城ドラキュラX セレクション」 ダウンロード配信限定。「月下の夜想曲」とのカップリング移植。 (※2) 本作を含む58タイトル(国内34、海外24)が内蔵された、PCエンジンのミニチュア復刻版。Amazon専売。収録タイトルが少し異なる海外バージョン等あり。現物ソフト・周辺機器の使用やソフトの追加・変更は不可。
CD-ROMという新たなメディアで登場したドラキュラ。 ドラキュラシリーズ10作目にあたり、「X」(10を意味するローマ数字)と命名。 PCエンジン最高のアクションゲームと豪語できるほどの素晴らしい作品です。 主人公はベルモンド家最後の人物となる「リヒター=ベルモンド」。 以前のようなむさくるしいムキムキマッチョマンとは違い、青の衣装が似合う爽やかで熱血漢溢れる ドラキュラ復活を聞き、襲われている街へ向かうため馬車を走らせるところからゲームが始まります。 全体を通してドラマ性を感じられるような演出がリアルタイムで(←ここが重要)組み込まれており、下手な会話シーンでアクションを中断し、プレイヤーの集中力を削ぐようなものとは次元の違う出来となっています。 それだけに、「さらわれた女性」や一切飛ばすことのできない「ビジュアルシーン」(アニメーション)の存在は蛇足だったような気も…(PCエンジンのゲームらしいといえばらしいのですが) (※)ちなみに「CD-ROM2」(「シーディーロムロム」と読む)というのはPCエンジン固有の商標で、普通のCD-ROMとの違いは特にありません。 初めに「CD-ROM2」が、その後メモリを増強(512KBit→2MBit)した「SUPER CD-ROM2」が登場しました。
基本は初代と同じですが、本作オリジナルの要素も数多く取り入れられています。 簡単に説明していくと…。 ●基本システムのブラッシュアップ 鞭のパワーアップはなくなり、常に長い鎖鞭状態。 サブウェポンの連射は手持ちのハート数に応じて変化。また、サブウェポンを取ると持っていたサブウェポンは入れ替えで下に落ち、再び回収できるようになりました。 ステージを探索して隠しルートを発見するという仕様に合わせ、制限時間もなくなりました。 ●新たなサブウェポンの追加 今までの5種類のサブウェポンに加え、魔法の書(後に聖書に変更)と鍵の二つが追加されています。 魔法の書はリヒターを中心に渦巻状に広がる、防御効果に優れたサブウェポン。 鍵は、特定の場所にある鍵のかかった扉を開けるためのサブウェポンです。 ●アイテムクラッシュという特殊攻撃の追加 ハートをより多く消費して、サブウェポンの持つ真の力を解放します。 大体において画面全体に有効なものが多く、また使用した瞬間は無敵になるため、回避にも利用可能です。 ●表と裏の2種類のステージ 2〜5ステージでは、直前のステージで隠しルートを発見することで、表とはまったく違った裏ステージに進むことができます(ステージの構成も、ボスキャラクターも異なります) 裏ステージへの分岐ではない、ステージ中での分岐ルートや隠し部屋も多数あり、また分岐ルートに進むためのギミックも各ステージで工夫が凝らされています。 「こんなところに隠しルート(部屋)が!」「こんな方法で進めるなんて!」という発見の驚きと楽しみにより、何度でも遊んでみたくなる、そのうえ決して冗長さを感じないステージ構成も見事です。 さらに、表はシリーズおなじみのエリア(悪魔城入口や礼拝堂など)と既存(アレンジ)曲、裏は目新しい舞台と新曲でまとめられており、表を進むと懐かしさを、裏を進むと新しさを感じられるという全体の構成も素晴らしい。 ●さらわれた4人の女性を助け出すという目的 「PCエンジンだなぁ…」と思える設定。 助け出すと突然空気を読まないビジュアルシーンが始まり(スキップ不可)、プレイヤーの集中力と緊張感をマイナスに振り切るほど削いでくれます。 そのくせアニメーションのクオリティは高いのがまた腹立たしい(苦笑) ●新たなプレイヤーキャラクターの追加 これが巷で話題の「マリア=ラーネッド」です。 詳細は次項にて。
さらわれた4人の女性の中に、「マリア=ラーネッド」という名前の少女がいます。 彼女だけは特別で、救い出すとプレイヤーキャラクターとして使うことができるようになります(開発当初は、さらわれた女性全員が使えるようになる予定だったとか) リヒターとはまた違う操作性で、攻撃にはなんと動物を使います。 メイン攻撃はハト(2連射が可能で移動しながらも撃てる)、サブウェポンもネコ、鳥、ドラゴン、亀など奇想天外なものばかり。 さらに、スライディングによる高速移動や二段ジャンプも可能な、操作がとても楽しいキャラクターです。 リヒターと比べて打たれ弱い(ダメージ1.5倍)のが欠点ですが、それを補って余りあるほどの圧倒的な攻撃力と機動性を持っています。 初心者には優しく、上級者には楽しめるキャラクターになっていますし、リヒターとマリアでは攻略法もまったく異なってきます。 一粒で二度楽しめるこの仕様は、ユーザーのことを考えたよい仕事をしていると思います。
生音が使えるCD-ROMということで、今回のBGMはさらに聴きごたえのあるものになっています。 「Vampire Killer」のアレンジは必聴。 新曲も「鎮魂歌」(ファイルセレクト)、「乾坤(けんこん)の血族」(ステージ1BGM)、「Cross a Fear」(ステージ2裏BGM)、「Slash」(ステージ4裏BGM)、「Op.13」(ステージ5裏BGM)、「獄幻界乱舞」(ボスBGM)など、これまでに生まれた数々の名曲にもまったくひけをとらない、素晴らしい曲が揃っています。 内蔵音源曲以外は普通のCDプレーヤーでも再生可能(ただし注意事項あり。詳しくは「BGM コレクション」の項を参照)なので、ゲームをしていなくても好きなときに聴くことができるのも嬉しい仕様(?)です。 1トラック目のリヒターとマリアの漫才も楽しいですよ。
今回は国内販売限定で制作されたので、魔法陣や人型の敵など、国によっては宗教などの問題で表現できないものが続々登場します。 その辺りを考えながら遊ぶのも良いかもしれませんが、そんなことよりも操作性とバランスが非常によくできていて、触れること自体がとても楽しい作品です。 細かいことは気にせず、多彩になった敵の演出や攻撃を楽しみつつ、攻略していくのが一番よい楽しみ方でしょう。 なお、この作品は後の「月下の夜想曲」に深く関わってきます。 登場人物もほとんどが継承されているため、この作品を遊んでおくとさらに趣が出てくるでしょう。 …ただ、この作品が好きであればあるほど、「月下の夜想曲」の設定は不満に思えるのですが。 ←BACK |