悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon
あくまじょうドラキュラ サークル・オブ・ザ・ムーン ←BACK
(※1) 「Castlevania ADVANCE COLLECTION」 シリーズ4タイトルを収録したダウンロード専用ソフト。PS4(5)、Xbox One(X/S)、Steam、Nintendo Switchにて配信。
「月下の夜想曲」の流れをくむ、いわゆる探索型ドラキュラ。 城内を探索し、アイテムを見つけることによって行動範囲を広げていくという内容です。 個人的には新たなシステムに対する興味はあったものの、またマップやドロップアイテムをコンプするために奔走するのか…と少し食傷気味に思う気持ちと、新たなマップや敵への期待が混ざり合って、なんとも不思議なプレイ感覚を覚えました(面白い作品ではあったのですが) 全体的に二番煎じ的印象は否めませんが、難易度的には難しすぎるわけでもなく、簡単すぎるわけでもなく、この作品の売りであるDSSとの兼ね合いをよく考えて設定されていると思います(特に転職モードのバランスは秀逸)
基本システムについては先述の通り。 本作オリジナルの要素として、特定の敵が持っている「動作カード」と「属性カード」を組み合わせて使用することで様々な効果を得られる「DSS」(デュアル・セットアップ・システム)が採用されています。 鞭に炎や氷の属性を付けたり、自身の能力を強化させたりなど、計100種類にも及ぶ効果が使えるようになっていきます。 これによって、アクションゲームが苦手な人でもうまく使い分けることで先に進みやすくなっています。 ただ、「どの敵が落とすか」「どんな効果があるのか」という重要な点に対してほとんどヒントがなく(カードの説明文を見ればおおよその効果だけは分かります)、特に「コマンド入力で発動」はサブウェポンと被るコマンドの意地悪さもあってかなり無茶な要求です。 一部を固定配置にしたり、最初から効果を開示する方がシステムとしては親切だったかも(それを発見する楽しみもあるといえばあるのですが…) 難点は、全体的に暗い色を使いすぎていて敵の攻撃が見えない場合があることです。 フロントライト仕様のSPですら厳しい場面があるくらいなので、可能ならばDSやゲームボーイプレーヤーで遊ぶようにした方がよいでしょう。
…とネイサンが思ったのかは不明ですが、ゲームクリア後に新たな職業で挑戦できる試みは面白いと思いました。 マジシャンモード…最初から全てのカードを持った状態で始められる。 ファイターモード…カードは手に入らないものの、能力値が総じて高い。 シューターモード…サブウェポンの威力大幅強化、ハート消費が半分。 シーフモード…運の値だけが異常に高い。 見た目はまったく同じなのに、それぞれでまるで別作品をプレイしているように錯覚するほどの変化にはとても驚きました。 能力値とシステムをいじっただけでゲーム性をガラリと変えるというアイデアには感心しきりです。
この作品オリジナルの曲は全19曲中6曲(うち3曲はイベント用)と少ないです。 大半の時間を既存曲を聴きながら過ごすことになるため、新鮮味が薄い印象が強くなってしまうのも仕方ありません。 ゲームの顔とも言える、タイトル画面の曲までもが既存曲なのは残念…(ゲームボーイアドバンスからあの歌声が流れてきたときはとても驚きましたが) 余談ですが、ビジュアル的にももう少し華が欲しかったですね。真っ黒な背景にロゴだけ…というのは、そっけないというかちょっと寂しい…。 「awake」(地下墓地BGM)や「fate of despair」(礼拝塔BGM)、「circle of the moon」(エンディング)などのオリジナル曲がまったく引けを取らない名曲だっただけに、より残念な気持ちになってしまいます。 とはいえ、アレンジとしては優秀なものが多く、原曲よりノリとスピード感に溢れた「Clockwork」(機械塔BGM)や「幻想的舞曲」(ドラキュラ戦BGM)などはとても格好良い。 後者はわざと戦いを長引かせないと1ループもせずに終わってしまううえ、その後セーブすると以降そのセーブデータでは二度と聴けなくなってしまうのが難ですが。
探索型をベースに従来の難しさとストイックさを組み込み、それでいて多くのプレイヤーが入り込める幅広い難易度と奥深さを実現した作品です。 サブウェポンやDSSなど、バランスがあまり調整されていない(ように感じる)のは難点ですが、探索型、ステージクリア型、「両方の良いとこどり」である本作は、シリーズが今後目指していくべき方向性の一つを提示したといえるかもしれません。 その後、長らくの間「探索型依存症」に陥ってしまうことは想像していなかったでしょうけど…。 ←BACK |